横浜にお住まいの和田宏毅さんが、又吉さんに宛てた「激励の手紙」を紹介します。
 
又吉三線屋 又吉康美様
和田さん
 又吉さんの三線を頂戴してから、もうすぐ一年に
なろうとしています。初めて又吉さんの三線に出会っ
たときの衝撃は今でも忘れられません。
 私は以前から地元(横浜在住)や沖縄で三線屋を
訪ねてはいたものの、心の底から「欲しい!」とい
うものに出会うことが出来ませんでした。昨年、那
覇でタクシーの運転手さんに「又吉さんの三線はい
いよ」と教えていただき、さっそく探してはみたも
のの結局は見つからずじまい。それでもその言葉を
信じてインターネットで調べてみたところ、ホーム
ページに辿り着きました。
 こちらのホームページを拝見させていただいて、
まず出てきた言葉が「なんて、美しいんだ・・・」
まさに衝撃的でした。何枚もの画像に写しだ出され
た三線たちの調和のとれたその姿、堂々とした顔、
なめらかな棹のライン、透き通るような手の込んだ
塗り、繊細な細工の施されたカラクイ・・・。
そしてそれぞれの三線がその自分の個性を見事に
あらわしている!
「これは美術品だ!」
「欲しい、ぜひ欲しい」そう思いました。
しかし、迷いがあったことも否めません。
 これだけの三線です、きっと自分では到底、手の届かないものでしょう。正直に言って、経済的に
それほど余裕があるわけでもありませんでした。何日も考えました。性懲りもなく他の店もあたって
みました。けれど又吉三線の姿が頭からどうしてもが離れませんでした。
 そして勇気を持って連絡をさせていただき、三線の写真を撮影された武井さんに会う事ができまし
た。「実際に手にとって見てください。気に入ってから購入を考えればいいですよ」そう優しくおっ
しゃられたので、図に乗って、持ってきていただいた数丁の三線をずうーっと見たりさわったり。
その合間に又吉さんの三線に込める熱い想いを語っていただきました。
 
「又吉さんはただ三線をつくって売っているのではない。その三線がつくられた頃の時代やその背景
に想いをはせ、それぞれの三線がその独自の音色、それも最高に良い音色を忠実に再現できるよう精
魂を込めてられている。そしてそこでとどまることなく更に高い境地の三線を創り上げるために常に
研究を続けているのだ」
 
 私は震えるような感動を覚えました。「やっぱり最高の三線だ。自分にはこれしかない」と確信し、
譲っていただくようお願いしました。
 しばらくして、待ちに待った又吉さんの三線が我が家にやってきました。私がお願いしたのは樹齢
三百年のレイシで作った「拝領南風原」です。さっそくご対面です。「ああ、やはり美しい・・・」
もう説明はいりません。とにかくうっとりです。そしてもう一つの命は音色です。又吉さん手作りの
ベークライトのばちで弦を弾いてみました。
「ウォン〜ウォン〜ウォン〜ウォン〜・・・」という波動が自分と遙か遠くの方まで広く響き渡って
ゆく様な感触。その音色は心を優しくいたわり、穏やかにしてくれるようです。さわやかな明るさを
持っているように感じられました。
 まさに音と美をどこまでも追求する人が手掛けた美術品で、自分がそれを手にしたという喜びで心
が満たされてゆきました。「ずっと、ずっと大切にしよう。そして自分の子どもやその先の代までも
引き継いでいってもらおう」そう思わざるを得ない三線なのです。

 本当によい買い物(というのは失礼かもしれませんが)をしたなあ、と思います。
また、それと同時に感じることは、この又吉さんの三線を手にするまでの、その道のりの不思議さで
す。そこには良しも悪しもいろいろな人との出会いがありました。すべての人が私とこの三線を出会
わせてくれるためにさまざまな形で手助けをしてくれたのだ、と感謝しています。これを縁というの
でしょうか。この三線を手に入れてから、またいろいろな人とたちとの交流がありました。
身近なところでは、私の叔母と祖母です。
 叔母はプロのヴァイオリニストで、日本の古典音楽にも非常に関心が深く、私が三線を弾きはじめ
たということで話が弾みました。「ぜひ三線をさわりたい」ということで又吉さんの三線に触れてい
ただいたところ、もう、大絶賛でした。
「なんて素敵な音色なんでしょう・・・」「ああ、いいわあ」となかなか三線を離してくれませんで
した。そして「また、三線を一緒に勉強しましょう」と約束をしてくれました。
 祖母は古典舞踊と音楽にとても興味を持っていて、年中、国立劇場や歌舞伎座に出かけているよう
な人です。その祖母が三線を弾く私を見て、「初めておばあちゃん孝行したわねえ」と、とても喜ん
でくれ、自分の下手な三線にいつもつきあってくれます。
こういった縁は本当に大切にしたいと思います。
 
 又吉さんの三線によって、自分の世界が少しずつ、しかし着実に広がって行くようです。
素晴らしい三線をありがとうございました。これからもお元気で素晴らしい三線をたくさん作り続け
てください。

                          2004年 6月18日  横浜市 和田宏毅
ファンクラブ
はじめのページ