太陽の音 太陽の音は「ゆとり」がメインになる三線だ。今まで研究してきた三線からゆとりのある三線を 選び出し、もう一度ゆとりを中心にした音作りを検討してみた。 そして次の五丁の「太陽の音」の三線が完成した。 |
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ここで開鐘の始まりである盛嶋開鐘が、なぜ太陽の音の三線に入らないかを述べてみたい。盛嶋 開鐘は「楊貴妃のようだ」と云われる大変美しい三線である。胴にゆとりと音の深さを増す工夫が なされている。しかし、ゆとりを主体の三線として検討してみると西平開鐘や翁長開鐘には及ばな い。ゆとりもあるが力強さの三線といえる。 また湧川開鐘は戦争で顔を破損し戦後修理されているため、野の長さが現代三線の寸法になってし まっている。そのため作られた当時の音ではなくなっている。全体の作りも盛嶋開鐘に近い。 お客さんに古典音楽の師範の方が多いので発表会などの舞台に誘われることがある。そのときに 残念に思うことがある。舞台を台なしにしている三線や唄があるからだ。踊り手が役になりきって その世界の空間を作り出そうとしているのに、踊り手の緊張感を煽るような甲高い音の三線と声が それである。その音は観客席を飛び越えて舞台に残らない。また必要以上にピカピカ光る漆の三線 も舞台の邪魔となる。観客の意識が漆の輝きに惑わされてしまうのだ。踊り手の力を最大限に発揮 するには、柔らかく包み込む「太陽の音」が必要なのだ。 最近は野村流音楽協会師範の城間盛秋さんが、私の作った「太陽の音」の知念大工を使って舞台 に立つようになった。太陽の音を声で表現できれば、踊り手と地方が一体となる舞台が実現する。 王朝時代の最高の芸術を再現する日は近いはずとだと期待している。 |
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